キャンピングカーの車窓から

キャンピングカー&バイクの旅と時々グルメ

日本版FIREの落とし穴、このムーブメントって大丈夫なの?

 本ページはプロモーションが含まれています

FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは

米国のミレニアル世代からブームになり、1年前くらいからは日本でも記事や本が沢山でています

セミナーも人気のよう

私も何冊か読んでみました

普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門

普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門

  • 作者:山崎俊輔
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
Amazon

FIREはその名の通り、「経済的自立によって早期リタイヤ」という夢のような話

いろいろなパターンが考えられますが

基本的となっているのは

「資産を年4%で運用できるとした場合、生活費の25倍を貯蓄できれば早期リタイヤできる」

というもの

日本の世帯年収平均550万円

ここから税金や貯蓄に回す額を引いて

400万円あれば生活できると仮定すると

400万円×25倍=1億円を頑張って貯める

1億円貯まれば4%の運用で年間400万円の不労所得が毎年入る

という理屈

若くから起業して自分の会社を高値で売り抜けて悠々自適な生活

f:id:otoyan191:20220409101511p:plain

といった成功者の早期リタイヤと違って

誰でも達成できそうな気になるところがミソ

日経でさえも煽るような記事を載せています

早期リタイアは1億円なくても可能 日本版FIREとは: 日本経済新聞

FIREのパターンは人それぞれ

生活費、貯蓄に回せる額は人によって違います

このパラメータによってゴールとなる早期リタイヤ年齢は変わってきます

 

手取り400万円、節約して生活費は200万円、残りの200万円は貯蓄に回す20歳の場合

ずーっと200万円で生活できるなら

200万円×25倍=5000万円貯めればいい

年間200万円貯蓄に回せば

5000万円÷200万円/年=25年かかるので

45歳で早期リタイヤできます

f:id:otoyan191:20220409101038p:plain
f:id:otoyan191:20220409101928p:plain

 

手取り900万円、消費を抑えて生活費は400万円、残りの500万円は貯蓄に回す30歳の場合

400万円×25倍=1億円必要

1億円÷500万円/年=20年かかるので

50歳で早期リタイヤできます

 

自己都合退職は大幅に減額されるケースが大半ですが退職金も入ります

当然、積立中の運用益もあります(マイナスも有り得ます)

早期リタイヤ後も年間100万円程度のバイトをするなら運用額はもっと少なくても大丈夫です

歳をとれば生活費も減りますし、年金も入ります

最後の数十年は貯蓄も取り崩して使えます

と考えると、ここまで積上げなくてもいいかもしれません

4%の資産運用って簡単なのか?

f:id:otoyan191:20220409101107p:plain

これは難問

4%といっても配当や譲渡益の20%課税を考えると実質的に5%の運用が必要

過去20年平均の商品別運用実績を見ると

現預金0.07%

日本株5.3%

外国株8.2%(為替反映済)

過去実績からするとほぼ全額を株式投資すればなんとかなりそう

外国株は特に好調なので米国でFIREがブームになるのも分かります

でも、バブル末期に20代だった私の時は預貯金が8%でしたし

企業年金の運用も生保は5.5%が最低保証でした

20代の頃に数十年後の予測を立てるのが如何に無理筋かということです

虎の子の1億円を全額投資に回す勇気

一般的に投資は余裕資金でと言われます

仕事柄、年金運用関係にも携わったこともありますが

運用のプロと言われる機関投資家でも

ベンチマークと言われる各種指標(TOPIXやダウ平均等)を上回り続けることは困難

となると一部の金融リテラシーが高い人以外はインデックス運用になります

でも貯蓄を全て投資に回すのは覚悟が必要

バブル崩壊やリーマン並みのショックと恐怖に平常心でいられるでしょうか

f:id:otoyan191:20220409102633p:plain

毎年の運用実績で生活資金が決まる生活に何十年も耐えられるでしょうか

生活資金が足りない年も運用原資は取り崩せないし、無職ではローンも無理

そんなストレスを毎年抱えながら運用するなら仕事のストレスの方がマシかもしれません

公的負担はリタイヤ後も続く

会社勤めを辞めると、厚生年金から国民年金となり、掛金は全額自己負担になります

専業主婦が3号被保険者で負担がなかった場合でも新たに支払義務が生じます

健康保険の会社負担分も無くなるので国民健康保険を全額自己負担する必要があります

40歳以上なら介護保険の負担もあります

f:id:otoyan191:20220409102236p:plain
f:id:otoyan191:20220409102241p:plain

給与所得が無くなれば住民税非課税世帯にはなりますが

イコール国民年金や国民健康保険が免除になるとは限りません

ざっと年間50万円負担とすると生活費200万円と見積もっていても150万円しか使えなくなります

FIREの記事は全く触れていないのがほとんどです

FIREと日本の経済

ZOZOの前田さんみたいに起業して大成功してリタイヤする人は

それまでに多額の税金を納め、リタイヤ後も多額の消費をしているでしょうけれど

若いうちから消費を控えて、40歳でリタイヤして所得税も住民税も納めない

これがブームになると経済は回らず税収は確実に減ります

年金負担は更に増え、株価は上がらず、消費税を上げざるを得ず

最後はFIRE生活の源泉である投資への金融課税強化になることは当然考えておくべきでしょう

f:id:otoyan191:20220409102027p:plain

いろんな生活スタイルや人生設計があり、選択の自由があることは当然としても

FIREというスタイルが大勢になると結局、FIRE自体が成り立たなくなります

FPの書く記事は方法論ばかりでマクロ的な考察が全くなされていないのも気になります

現実的なのはFIRE60?

最近はFIRE60なんてワードも出てきて

60歳、早くても55歳の早期リタイヤが現実的とも言われています

それって早期なの?

と思われますが、公的年金は65歳から、70歳や75歳まで雇用延長するという世の中

これでも十分早期なのかもしれません

f:id:otoyan191:20220409101146p:plain

そもそも不労所得で暮らせるという夢のような生活は憧れますが

手取りが400万円でも900万円でも稼いだ8割は消費して2割を貯蓄に回すくらいが健全な生活ではないでしょうか

やっぱり頑張って稼いだらその分使いたいですしね

20代、30代の内にやりたいことも我慢して節約する生活もどうなの?って思います

若いうちにしか経験できないことは間違いなくありますし

家を建てたり、子供ができたり、病気になったりと人生のイベントにFIREは耐えられるんでしょうか

 

数年後のFIRE60を目指す私の雑感でした